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回想 永遠の森の恋人達(後)

「惚れたりなんかするものか」と彼は言った。

迷いの無い断言は本当の証。嫌がる相手をからかって面白がっているだけ。
だけどその気が無いくせに、もっともらしい素振りを見せる事が出来ているのも事実だ。

僕への想いも、もしかしたら?
本当は好いてなんていないんじゃないか?

いや、ひょっとすると、あの男に気が無い事の方こそ嘘ではないのか?
嘘の上手い人間はごまんと見てきた。
その場で信じ込まされてしまっただけで、その実は…

そうすると、やっぱり僕への愛も否定する事が出来てしまうんじゃないか?
つまらない疑心暗鬼が渦を巻く。
そう、つまらない。自分で自分の首を絞めていくだけ…

こんな埒の明かない想像はやめよう。
彼の心の内を覗き見る事など、どうせ出来っこないのだから。



「アクエリオ?」
「あぁ、よその都だよ」

ある時彼は、糊の利いたテーブルクロスの端を弄びながら言った。
報告はいつも突然で、そして事後だ。

水神祭都アクエリオ、名前だけなら聞いた事がある。
でも永遠の森から一歩たりとも出た事の無い僕にしてみれば、実在しないのと同じ事だった。
これからその水の都へ行く、行かなければならない、という彼は、いつになく真剣な面差しをしていた。

「どうして?」
「…………どうしてもだ」
「君、アクスヘイムから来たんじゃないか。何もそんなに転々としなくたって…」
「俺ァ行かなきゃならねえ」

問い詰めても問い詰めても、その顔には「説明してもわからないだろう」とでも言うような、諦めの色が薄っすらと浮かぶばかりで、それ以上彼が口を開く事は無かった。

戒律、スフィクス家、密告者。一連の事件は僕の印象にも強く残っている。
彼がかの戦争を生き抜いた事も、何らかの災禍を潰して回らずには居られない事も知っている。

それでも、僕には解らない。
今居る土地や恋人と離れてまで、他所の理不尽を砕きにいく道理が。

やっぱり彼は、僕の事などどうでもいいのかも知れない。
僕よりも、見ず知らずの他人の、それもまだ見ぬような将来を心配するようなタチなのだから。

「手紙書く。元気でな」

そう言い残して、彼はこの国を去った。
半月ほどして到着を知らせる手紙が届いたが、僕は未だに返事を書かないでいる。
おそらくこれから筆を執る事も無いだろう。



彼は所詮、「あっちの世界の人間」に過ぎないと解ったからだ。
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