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回想 永遠の森の恋人達(前)

「あの男、誰」

僕は切り出した。

「あの男?」

シガーペーパーの端を舐め舐め、「彼」は大儀そうに聞き返す。

「赤毛の男。鎧を着た」
「ああ、奴か……」

紙巻を吸いつけるのにかこつけてか、言葉を区切った。
この男は煙草を吸うのにマッチの一つも使わない。
いつも手品のように紫色の小さな炎を掌から灯してみせる。
男にしてはいやに華奢な腕が、僕の剥き出しの肩に伸びた。

「友達だよ」
「嘘」
「嘘たァ何だ」
「いつも一緒にいるじゃないか。収穫祭の時もそうだった」

彼に会いに酒場に顔を出すと、しょっちゅう隣にいるあの男。
忌々しい、あの男。
きらびやかな宝石や異形の像に囲まれた店内で、決まってラムのグラスを傾けているのだ。
あの男の隣にいると彼はいつも嬉しそうで、二人――時には周りの何人かで――僕にはよく分からない話をする。
店主は優しかったが、何だか自分が蚊帳の外に追いやられているような気がして、あそこに行くのはやめてしまった。
必ず漂っている良い匂いの香も、不安と疎外感を増長させるばかりで、嫌いになった。

「何だ、揃いの格好で遊びに行ったのが気に食わねえのか」

拗ねた子供に付き合うような様子で、彼は低く笑った。
それが尚更、自分を聞き分けの無い幼子のように思わせて、僕は布団を掛け直して背を向ける。

「怒るなよ。ホントのホントに友達さ…ありゃあ所詮あっちの世界の人間にすぎねえ」

項の辺りで蠢いているのは、髪を弄る指先か。

「惚れたりなんかするもんかい。俺が好いてるなァ誰だ?」
「…………僕だ」

満足げな吐息と共に、煙草の匂いが鼻先をくすぐる。

「そうともさ、可愛い耳長さんよ」
「…………」

反論する手立ては、封じられてしまった。
言いたい事はもっと色々あったはずだが、これ以上の追跡は僕には出来ない。
こんな問答は以前にも何度かあったけれど、その度に器用に煙に巻かれてしまうのだ。
そう、器用に…

(器用な、男)

そうだ、あまりにも器用すぎる。
こんなにもすんなりと、たった一言で言いくるめてしまう。
あの男の事にしても、僕のやきもちにしても、以前から用意でもしていたかのように。
振り向いて見上げたその顔には、落ち着き払った微笑だけがある。
戸惑いの色すら浮かんでいない。
顔色一つ変えずに、すんなりと…

「あの男」への思慕の念が無いのはきっと本当だ。
僕の中でも、それは半ば確信に変わりつつある。
しかし、この胸の奥のわだかまりはは何だ?

ああ、僕は良くない所に目をつけてしまった。

(続く)
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